回送列車で旅がしたい。
回送列車。
時々駅のホームで見かける回送列車。
誰も人が乗っていない奇妙な列車。
あの電車はどこに行くのだろう。
車庫なんていう無粋な答えはだめだ。
妄想しなければならない。
彼は疲れたのかもしれない。
おうちに帰ってゆっくりするのかもしれないし、てもみんに行ってリラックスするのかもしれない。
彼は人生が嫌になったのかもしれない。
「こんなレールに敷かれた人生は嫌だ」と列車のアイデンティティを揺るがす発言をしたのだ。
そうだ、間違いない。
あの「回送」の2文字は列車なりの意思表示なのだ。
違う人生を歩もうとする強い意志をもつ回送列車。
そんな回送列車に乗って、旅がしたい。東北とかに。